オーストラリアで新規化学物質(工業化学品)を製造もしくは輸入をする際には,2019年IC法 (工業化学品法 2019: Industrial Chemicals Act 2019)に基づき,届出をしなければならない.届出の種類に免除導入があるが,以下に免除が適用される条件を説明する.なお全体を説明した内容は以下参照.
オーストラリア 2019年IC法 | 新規化学物質届出制度
※導入とは,製造と輸入を意味する.
- 法規・参考
- 免除の適用条件
免除の種類は以下8種類あり,適用条件は各項に記す.- 輸出専用の工業化学品の導入 (Section 26(2) (法規②)
以下の場合,適用される.- 工業化学品がオーストラリアの港または空港に導入される
- その後,工業化学品の総量がオーストラリアから輸出される
- 工業化学品がオーストラリアにある間は,工業化学品が含まれる包装は開封されない
- 工業化学品がオーストラリアにある間は,工業化学品は以下のいずれかである
i) 1901年の関税法に基づく税関管理の対象
ii) 工業化学品を導入する者の管理下にある - 法規①のSection 11 (3)は導入の適用外である
* 法規①のSection 11 (3)に基づき,工業化学品が25営業日以内にオーストラリアを離れ,かつ離れる前には税関法1901に基づく通関管理の対象になる場合,工業化学品の導入の除外となる.したがって,上記dのi)は,工業化学品が25営業日を超えて税関管理の対象になる場合に適用される.
- R&D(研究開発: Research and Development)用途の工業化学品の導入(Section 26(3) (法規②)
以下の場合,適用される.- 工業化学品の導入は以下いずれかに該当
i) R&D用途で使用される工業化学品
ii) 工業化学品を第三者にR&D用途で使用する目的で,R&D用途で使用される工業化学品 - 工業化学品は,以下いずれかのように,一般に公開されていない
i) 単品
ii) 1つ以上の他の工業化学品との組み合わせ
iii) アーティクルを生産するため,工業化学品が物理的または化学的変化を受けるアーティクルの一部 - 工業化学品の導入と使用によるリスクを排除または最小化するために,管理措置は以下両方に行われる.
i) R&Dに関連する者
ii) 環境 - 登録年度に導入した工業化学品の総量は以下を超えない
i) ナノスケールの場合:10kg
ii) その他の場合:250kg
- 工業化学品の導入は以下いずれかに該当
- 収載済みポリマーと同等のポリマーの導入 (Section 26(4) (法規②)
以下の場合,適用される.- 工業化学品はポリマーである
- インベントリーに収載されているポリマーを反応物の1つとして含むポリマー
- 収載済みポリマーを含めずに,1つ以上反応物を含むポリマー
- 追加の反応物は2%を超えないポリマー
- 導入は,収載済みポリマーを収載するインベントリーの次の条件を遵守する
i) 工業化学品の評価範囲
ii) 工業化学品の導入または使用に関する条件
iii) 工業化学品の導入に関して,局長へ提供情報の特別要件
iv) 法規① Section 81(1)(f)の目的のために規定されている工業化学品に関するその他情報
- 収載済み工業化学品と同等の工業化学品の導入 (Section 26(5) (法規②)
以下の場合,適用される.- 以下表のcolumn 1に記載されている工業化学品の導入
- 導入は,以下表のcolumn 3に記載されている工業化学品のインベントリーの条件を遵守している
i) 工業化学品の評価範囲
ii) 工業化学品の導入または使用に関する条件
iii) 工業化学品の導入に関して,局長へ提供情報の特別要件
iv) 法規① Section 81(1)(f)の目的のために規定されている工業化学品に関するその他情報
- 低懸念ポリマーの導入 (Section 26(6) (法規②)
以下の場合,適用される.- 工業化学品は低懸念ポリマーである
- 工業化学品は,肺への負担が懸念されている高分子量ポリマーではない
- 低懸念生体ポリマーの導入 (Section 26(7) (法規②)
以下の場合,適用される.- 工業化学品は生体化学品ではない
- 工業化学品はポリマーである
- スケジュール2の低懸念ポリマーの定義に,ポリマーが安定であるという要件が含まれていない場合,工業化学品は低懸念ポリマーに該当する可能性がある
- 収載済み工業化学品の非機能化表面処理から生じる工業化学品の導入 (Section 26(8) (法規②))
以下の場合,適用される.- 工業化学品は,化学品(基質化学品)の1つの表面で発生する2つ以上の化学品間の反応の結果である
- 基質化学品と反応するその他化学品の1つはインベントリーに収載されている
- 工業化学品は以下のような工業化学品ではない
i) 固体であるか,分散液中にある
ii) ナノスケール - 基質化学品に存在しない反応官能基であり,工業化学品にもない反応官能基である
- 一番高いリスクが非常に低いリスクである導入 (Section 36 (法規②))
導入がSection 24 (法規②)のstep 6に従う免除である場合,Section 36の表に情報が規定されている.
- 輸出専用の工業化学品の導入 (Section 26(2) (法規②)
- 参考
AICIS (HP)
以上