オーストラリアで新規化学物質(工業化学品)を製造もしくは輸入をする際には,新法である2019年IC法 (工業化学品法 2019: Industrial Chemicals Act 2019)に基づき,届出をしなければならない.旧法は,1989年IC法 (工業化学品法 1989: Industrial Chemicals Act 1989)であり,新法である2019年IC法は2020年7月1日に施行された.2019年IC法が施行されるにあたり,経過措置の法と規則が施行されたので以下に記す.なお,以下は旧法に基づき承認された申請が新法での有効性を記す.
- 法規
- 2019年IC(経過規定)法 (工業化学品法 (改定・経過規定) 2019: Industrial Chemicals (Consequential Amendments and Transitional Provisions) Act 2019: 法規①): WEB・PDF
- 2019年IC(経過規定)規則 (工業化学品規制 (改定・経過規定) 2019: Industrial Chemicals (Consequential Amendments and Transitional Provisions) Rules 2019: 法規②): WEB・PDF
- 2019年IC法 (工業化学品法 2019: Industrial Chemicals Act 2019: 法規③): WEB・PDF
- 2019年IC規則 (工業化学品規制 2019: Industrial Chemicals Rules 2019: 法規④): WEB・PDF
- 旧法に基づく申請の新法での取り扱い
- 旧法で発行された評価証明書 (Assessment Certificates) (Section 11 (法規①),参考①)
旧法に基づき発行された評価証明書は,2020年7月1日以降,新法では以下のようにみなされる.
旧法 新法 評価証明書 評価証明書 所有者 所有者 対象拡大された者 対象者 内容 (terms) 内容 (terms) 通知義務 (旧法 Section 64(1) and (2)) 局長への情報提供 (新法 Section 38(1)(d))
備考:- 評価証明書は,2020年7月1日以降,新法に基づき発行された評価証明書(Assessment Certificates)とみなされる
- 評価証明書の所有者は,新法の下での評価証明書の所有者とみなされる
- 評価証明書が旧法に基づき導入者の対象を拡大した場合,その者は新法に基づく評価証明書の対象とみなされる
- 旧法に基づく評価証明書の内容(terms)は,新法に基づく評価証明書の条件とみなされる
- 旧法のSection 64(1)および(2)に基づく通知義務は,新法のSection 38(1)(d)に基づく局長に情報を提供するための特定要件であるとみなされる
- 旧法で発行された商業査定許可 (Commercial Evaluation Permits; CEP) (Section 17 (法規①),参考②)
旧法に基づき発行された商業査定許可(CEP)は,2020年7月1日以降,新法では以下のようにみなされる.
旧法 新法 商業査定許可(Commercial Evaluation Permits; CEP) 商業査定免許(Commercial Evaluation Authorisation; CEA) 所有者 所有者 内容(terms) 内容(terms) 条件(conditions) (旧法 Section 21L(1)) 導入または使用に関する条件 (新法 Section 59(1)(e)) 有効期間 有効期間
備考:- 商業査定許可は,2020年7月1日以降,新法に基づき発行された商業査定免許(Commercial Evaluation Authorisation; CEA)とみなされる
- CEPの所有者は,新法の下でのCEAの所有者とみなされる
- 旧法に基づくCEPの内容(terms)は,新法に基づくCEAの内容とみなされる
- 旧法のSection 21L(1)に基づくCEPの条件(conditions)は,新法のSection 59(1)(e)に基づくCEAの導入または使用に関する条件とみなされる
- 旧法に基づくCEPの有効期間は,新法に基づくCEAの有効期間とみなされる
なお,CEPは新法に基づくCEAに更新することは可能である.ただし,CEAの有効期間は,NICNASで許可された日から最大4年までとなる.
- 旧法で発行された少量許可 (Low Volume Permits) (Section 19 (法規①),参考③)
旧法に基づき発行された少量許可は,2020年7月1日以降,新法では以下のようにみなされる.
旧法 新法 少量許可 (Law Volume Permits) 評価証明書 (Assessment Certificates) 所有者 所有者 対象拡大された者 対象者 条件(conditions) (旧法 Section 21W(3)) 条件(conditions) (新法 Section 38(1)(c)) 条件(conditions) (旧法 Section 21W(1)) 局長に情報を提供するための特定要件 (Section 38(1)(d)) 有効期間 有効期間 (以下備考6参考; 通常2022年6月30日まで有効)
備考:- 少量許可は,2020年7月1日以降,新法に基づき発行された評価証明書とみなされる
- 少量許可の所有者は,新法の下で評価証明書の所有者とみなされる
- 旧法に基づく少量許可の内容(terms)は,新法に基づく評価証明書の内容とみなされる
- 旧法のSection 21W(3)に基づく少量許可の条件(conditions)は,新法のSection 38(1)(c)に基づく評価証明書の条件とみなされる
- 旧法のSection 21W(1)に基づく少量許可の条件(conditions)は,新法のSection 38(1)(d)に基づき局長に情報を提供するための特定要件とみなされる
- 旧法に基づく少量許可の有効期間は,以下a~cの最も早い期間が評価証明書の有効期間とみなされる.
- 少量許可の有効期限が2022年6月30日までの場合:評価証明書は2022年6月30日まで有効となる
- 少量許可の有効期限が2022年6月30日より後の場合:評価証明書の有効期限は少量許可の有効期限に準ずる
- 評価証明書に関係するその他の日 (評価証明書の取消日,キャンセル日,導入許可期間があれば,最終日の次の日)
有効期限後は更新を申請することはできず,AICISに従った導入を実施する必要がある.なお,新法に基づき発行された評価証明書は,5年経過前にインベントリー収載はできない.
- 旧法に基づく管理使用許可 (Controlled Use Permits; CUP) (Section 26 (法規①),参考④)
旧法に基づき発行された管理使用許可(CUP)は,2020年7月1日以降,新法では以下のようにみなされる.
旧法 新法 管理使用許可 (Controlled Use Permits; CUP) 評価証明書 (Assessment Certificates) 所有者 所有者 内容(terms) 内容(terms) 条件(conditions) (旧法 Section 22H(1)) 条件(conditions) (新法 Section 38(1)(c)) 条件(conditions) (旧法 Section 22H(2)) 局長に情報を提供するための特定要件 (Section 38(1)(d)) 有効期間 有効期間 (以下備考6参考; 通常2022年6月30日まで有効)
備考:- 管理使用許可は,2020年7月1日以降,新法に基づき発行された評価証明書とみなされる
- 管理使用許可の所有者は,新法の下で評価証明書の所有者とみなされる
- 旧法に基づく管理使用許可の内容(terms)は,新法に基づく評価証明書の内容とみなされる
- 旧法のSection 22H(1)に基づく管理使用許可の適用条件(conditions)は,新法のSection 38(1)(c)に基づく評価証明書の適用条件とみなされる
- 旧法のSection 22H(2)に基づく管理使用許可の適用条件(conditions)は,新法のSection 38(1)(d)に基づき局長に情報を提供する特定要件とみなされる
- 旧法に基づく管理使用許可の有効期間は,以下a~cの最も早い期間が評価証明書の有効期間とみなされる.
- 管理使用許可の有効期限が2022年6月30日までの場合:評価証明書は2022年6月30日まで有効となる
- 管理使用許可の有効期限が2022年6月30日より後の場合:評価証明書の有効期限は管理使用許可の有効期限に準ずる
- 評価証明書に関係するその他の日 (評価証明書の取消日,キャンセル日,導入許可期間があれば,最終日の次の日)
有効期限後は更新を申請することはできず,AICISに従った導入を実施する必要がある.なお,新法に基づき発行された評価証明書は,5年経過前にインベントリー収載はできない.
- 旧法のsection 21に基づく導入1 (introductions under section 21 of old law) (Section 58 (法規②),参考⑤)
以下を対象とする旧法に基づく免除導入は,2020年7月1日以降,新法下でも2022年8月31日まで使用可能だが,規定などは遵守しなければならない.
旧法 新法 研究開発または分析(事前に届出した場所で製造) (旧法 Section 21(3)) 報告導入 研究開発または分析(100kg/12ヵ月以下) (旧法 Section 21(6)(a)) 報告導入 化粧品用(不当なリスクなし,100kg/12ヵ月以下) (旧法 Section 21(4)(b)(i)) 報告導入 非化粧品用(不当なリスクなし,100kg/12ヵ月以下) (旧法 Section 21(4)(b)(ii)) 報告導入 化粧品用(非有害性化学品であり,化粧品中で1%以下) (旧法 Section 21(6)(c)) 報告導入 承認条項の要求や規定 承認条項の要求や規定 有効期間 有効期間 (以下備考2参考; 2022年8月31日まで有効)
備考:- 対象
- 研究開発または分析(事前に届出した場所で製造) (旧法 Section 21(3))
- 研究開発または分析(100kg/12ヵ月以下) (旧法 Section 21(6)(a))
- 化粧品用(不当なリスクなし,100kg/12ヵ月以下) (旧法 Section 21(4)(b)(i))
- 非化粧品用(不当なリスクなし,100kg/12ヵ月以下) (旧法 Section 21(4)(b)(ii))
- 化粧品用(非有害性化学品であり,化粧品中で1%以下) (旧法 Section 21(6)(c))
- 導入は2022年8月31日まで使用可能
- 承認条項の要求や規定は遵守する
- 2020年7月1日以降,新法の報告導入に基づき認可されているものとみなされる
2022年9月1日以降,AICIS下で承認されるために導入を分類しなければならない.
- 対象
- 旧法のsection 21に基づく導入2 (introductions under section 21 of old law) (参考⑤)
以下を対象とする旧法に基づく免除導入(以下1のa)は,2020年7月1日以降,新法下では以下4のaもしくはbとみなされる.
旧法 新法 税関の管理下での積み替え (旧法 Section 21(6)(b)) 除外導入 (新法 Section 11(3)) 税関の管理下での積み替え (旧法 Section 21(6)(b)) 免除導入 (新法 Section 26) 承認条項の要求や規定 承認条項の要求や規定
備考:- 対象
- 税関の管理下での積み替え (旧法 Section 21(6)(b))
- 承認条項の要求や規定は遵守する
- 2020年7月1日以降,新法の免除導入に基づき認可されているものとみなされる
- 新法に基づき以下にみなされる
- 除外導入 (Section 11(3) (法規③))
オーストラリアの港または空港に導入され,25営業日以内に輸出される,Customs Act 1901に基づく税関管理の対象になる工業化学品 - 免除導入 (Section 26 (法規④))
オーストラリアの港または空港に導入され,工業化学品の包装は開封されることなく輸出される,Customs Act 1901に基づく税関管理の対象もしくは導入者の管理下にある工業化学品
- 除外導入 (Section 11(3) (法規③))
- 対象
- 旧法で発行された評価証明書 (Assessment Certificates) (Section 11 (法規①),参考①)
- 参考
以上