オーストラリア 2019年IC法 免除導入の詳細 | 新規化学物質届出制度

オーストラリアで新規化学物質(工業化学品)を製造もしくは輸入をする際には,2019年IC法 (工業化学品法 2019: Industrial Chemicals Act 2019)に基づき,届出をしなければならない.届出の種類に免除導入があるが,以下に免除が適用される条件を説明する.なお全体を説明した内容は以下参照.

オーストラリア 2019年IC法 | 新規化学物質届出制度

※導入とは,製造と輸入を意味する.

  • 法規・参考
    • 2019年IC法 (工業化学品法 2019: Industrial Chemicals Act 2019: 法規①): WEBPDF
    • 2019年IC規則 (工業化学品規制 2019: Industrial Chemicals Rules 2019: 法規②): WEBPDF
  • 免除の適用条件
    免除の種類は以下8種類あり,適用条件は各項に記す.

    • 輸出専用の工業化学品の導入 (Section 26(2) (法規②)
      以下の場合,適用される.
      • 工業化学品がオーストラリアの港または空港に導入される
      • その後,工業化学品の総量がオーストラリアから輸出される
      • 工業化学品がオーストラリアにある間は,工業化学品が含まれる包装は開封されない
      • 工業化学品がオーストラリアにある間は,工業化学品は以下のいずれかである
        i) 1901年の関税法に基づく税関管理の対象
        ii) 工業化学品を導入する者の管理下にある
      • 法規①のSection 11 (3)は導入の適用外である

        * 法規①のSection 11 (3)に基づき,工業化学品が25営業日以内にオーストラリアを離れ,かつ離れる前には税関法1901に基づく通関管理の対象になる場合,工業化学品の導入の除外となる.したがって,上記dのi)は,工業化学品が25営業日を超えて税関管理の対象になる場合に適用される.

    • R&D(研究開発: Research and Development)用途の工業化学品の導入(Section 26(3) (法規②)
      以下の場合,適用される.
      • 工業化学品の導入は以下いずれかに該当
        i) R&D用途で使用される工業化学品
        ii) 工業化学品を第三者にR&D用途で使用する目的で,R&D用途で使用される工業化学品
      • 工業化学品は,以下いずれかのように,一般に公開されていない
        i) 単品
        ii) 1つ以上の他の工業化学品との組み合わせ
        iii) アーティクルを生産するため,工業化学品が物理的または化学的変化を受けるアーティクルの一部
      • 工業化学品の導入と使用によるリスクを排除または最小化するために,管理措置は以下両方に行われる.
        i) R&Dに関連する者
        ii) 環境
      • 登録年度に導入した工業化学品の総量は以下を超えない
        i) ナノスケールの場合:10kg
        ii) その他の場合:250kg

    • 収載済みポリマーと同等のポリマーの導入 (Section 26(4) (法規②)
      以下の場合,適用される.
      • 工業化学品はポリマーである
      • インベントリーに収載されているポリマーを反応物の1つとして含むポリマー
      • 収載済みポリマーを含めずに,1つ以上反応物を含むポリマー
      • 追加の反応物は2%を超えないポリマー
      • 導入は,収載済みポリマーを収載するインベントリーの次の条件を遵守する
        i) 工業化学品の評価範囲
        ii) 工業化学品の導入または使用に関する条件
        iii) 工業化学品の導入に関して,局長へ提供情報の特別要件
        iv) 法規① Section 81(1)(f)の目的のために規定されている工業化学品に関するその他情報

    • 収載済み工業化学品と同等の工業化学品の導入 (Section 26(5) (法規②)
      以下の場合,適用される.
      • 以下表のcolumn 1に記載されている工業化学品の導入
      • 導入は,以下表のcolumn 3に記載されている工業化学品のインベントリーの条件を遵守している
        i) 工業化学品の評価範囲
        ii) 工業化学品の導入または使用に関する条件
        iii) 工業化学品の導入に関して,局長へ提供情報の特別要件
        iv) 法規① Section 81(1)(f)の目的のために規定されている工業化学品に関するその他情報

    • 低懸念ポリマーの導入 (Section 26(6) (法規②)
      以下の場合,適用される.
      • 工業化学品は低懸念ポリマーである
      • 工業化学品は,肺への負担が懸念されている高分子量ポリマーではない

    • 低懸念生体ポリマーの導入 (Section 26(7) (法規②)
      以下の場合,適用される.
      • 工業化学品は生体化学品ではない
      • 工業化学品はポリマーである
      • スケジュール2の低懸念ポリマーの定義に,ポリマーが安定であるという要件が含まれていない場合,工業化学品は低懸念ポリマーに該当する可能性がある

    • 収載済み工業化学品の非機能化表面処理から生じる工業化学品の導入 (Section 26(8) (法規②))
      以下の場合,適用される.
      • 工業化学品は,化学品(基質化学品)の1つの表面で発生する2つ以上の化学品間の反応の結果である
      • 基質化学品と反応するその他化学品の1つはインベントリーに収載されている
      • 工業化学品は以下のような工業化学品ではない
        i) 固体であるか,分散液中にある
        ii) ナノスケール
      • 基質化学品に存在しない反応官能基であり,工業化学品にもない反応官能基である

    • 一番高いリスクが非常に低いリスクである導入 (Section 36 (法規②))
      導入がSection 24 (法規②)のstep 6に従う免除である場合,Section 36の表に情報が規定されている.

  • 参考
    AICIS (HP)

以上

オーストラリア 2019年IC法 | 新規化学物質届出制度

オーストラリアで新規化学物質を製造もしくは輸入をする際には,2019年IC法 (工業化学品法 2019: Industrial Chemicals Act 2019)に基づき,新規化学物質届出をしなければならない.旧法は,1989年IC法 (工業化学品法 1989: Industrial Chemicals Act 1989)であり,新法である2019年IC法は2020年7月1日に施行された.以下に新法での届出制度の概要を説明する.
※導入とは,製造と輸入を意味する.

  • 法規・参考
    • 2019年IC法 (工業化学品法 2019: Industrial Chemicals Act 2019: 法規①): WEBPDF
    • 2019年IC規則 (工業化学品規制 2019: Industrial Chemicals Rules 2019: 法規②): WEBPDF
    • 2019年IC(経過規定)法 (工業化学品法 (改定・経過規定) 2019: Industrial Chemicals (Consequential Amendments and Transitional Provisions) Act 2019: 法規③): WEBPDF
    • 2019年IC(経過規定)規則 (工業化学品規制 (改定・経過規定) 2019: Industrial Chemicals (Consequential Amendments and Transitional Provisions) Rules 2019: 法規④): WEBPDF
  • 所管当局・届出先
    AICIS (オーストラリア工業化学品導入機構:Australian Industrial Chemicals Introduction Scheme)
  • 届出者 (Section 12 (法規①))
    • 導入者
      工業化学品を導入する前,登録年(9/1開始)ごとに工業化学品導入者登録簿(Register of Industrial Chemical Introducers)に登録しなければならない.
  • 届出物質
    以下に届出の対象物質と対象外物質を記す.
    • 対象物質
      工業化学品 (Section 10 (法規①))
      以下のいずれかを意味する.
      • 工業用途を持つ化学元素
      • 工業用途を持つ化学元素の化合物または錯体
      • 工業用途を持つUVCB物質
      • 工業用途を持つアーティクルから放出された化学品
      • 工業用途を持つ天然に存在する化学品
      • この項の目的のために規則で規定されている,工業用途を持つその他化学品または物質

    • 対象外物質 (Section 11 (2) (法規①))
      以下のいずれかに該当する場合は除外される.
      • 天然に存在する化学品
      • 単離されていない中間体
      • 偶発的に導入された化学品
      • 放出を意図しないアーティクルから放出される工業化学品
      • この項の目的のために規則で規定されている工業化学品
  • 届出種類(導入前の届出)
    以下に届出種類を記す.導入前に届出をする必要があるかどうかは各項目に記す.届出種類は以下6種類となる.
    • 対象物質収載導入(listed introductions) (Section 25 (法規①))
      工業化学品がインベントリーに記載され,インベントリーの条件に従っている場合に該当する.導入前の届出は不要.

    • 免除導入(exempted introductions) (Section 26 (法規①))
      人健康や環境へのリスクが非常に低い場合に該当する.導入前の届出は不要.
      以下は免除導入の種類である.
      • 免除導入の種類
        • 輸出専用の工業化学品の導入 (Section 26(2) (法規②))
        • R&D(研究開発: Research and Development)用途の工業化学品の導入(Section 26(3) (法規②))
        • 収載済みポリマーと同等のポリマーの導入 (Section 26(4) (法規②))
        • 収載済み工業化学品と同等の工業化学品の導入 (Section 26(5) (法規②))
        • 低懸念ポリマーの導入 (Section 26(6) (法規②))
        • 低懸念生体ポリマーの導入 (Section 26(7) (法規②))
        • 収載済み工業化学品の非機能化表面処理から生じる工業化学品の導入 (Section 26(8) (法規②))
        • 一番高いリスクが非常に低いリスクである導入 (Section 36 (法規②))

    • 報告導入(reported introductions) (Section 27 (法規①))
      人健康や環境へのリスクが低い場合に該当する.導入前レポート(pre-introduction report)の届出は必要である.
      以下は報告導入の種類である.
      • 報告導入の種類 (Section 38 (法規②))
        報告導入の6種類を以下に記す.
        • 人健康と環境に関して国際評価された工業化学品の導入 (Section 38 (法規②))
        • 人健康に関して国際評価されているが,環境に関して国際評価されていない工業化学品の導入 (Section 39 (法規②))
        • 環境に関して国際評価されているが,人健康に関して国際評価されていない工業化学品の導入 (Section 40 (法規②))
        • R&D用途の工業化学品の導入 (Section 41 (法規②))
        • 低リスク風味もしくは香料の導入 (Section 42 (法規②))
        • 一番高いリスクが低いリスクであるその他導入 (Section 43 (法規②))

    • 評価導入(assessed introductions) (Section 28, 31, 32 (法規①))
      人健康や環境へのリスクが中~高の場合に該当する.導入者は,導入前に評価証明書向けに届出し,評価証明書を取得する必要がある.評価証明書の化学物質名と最終用途は秘密にできる.

    • 商業査定導入(commercial evaluation introductions) (Section 29, 53, 54, 59 (法規①))
      導入者は,導入前に商業査定免許(commercial evaluation authorisation)向けの届出をし,商業査定免許を取得する必要がある.商業査定免許の化学物質名と最終用途は秘密にできる.

    • 例外状況導入(exceptional circumstances introductions) (Section 30, Section 67 (法規①)
      導入者は,導入前に例外状況免許(exceptional circumstances authorisation)向けの届出をし,例外状況免許を取得する必要がある.例外状況免許の関連情報はAICISのウェブサイトに公開される.
  • 届出時期
    • 対象物質収載導入(listed introductions) (Section 25 (法規①))
      導入前の届出は不要である.

    • 免除導入(exempted introductions) (Section 26 (法規①))
      導入前の届出は不要である.

    • 報告導入(reported introductions) (Section 27 (法規①))
      導入前に届出が必要である.

    • 評価導入(assessed introductions) (Section 32 (法規①))
      導入の70営業日前に届出が必要である.

    • 商業査定導入(commercial evaluation introductions) (Section 54 (法規①))
      導入の20営業日前に届出が必要である.

    • 例外状況導入(exceptional circumstances introductions) (Section 67 (法規①))
      規定なし
  • 必要情報
    導入前の届出に必要な報告導入,評価導入,商業査定導入,例外状況導入に必要な情報を以下に記す.
    • 報告導入(reported introductions)
      報告導入の6種類各々に必要な情報を以下に記す.
      • 人健康と環境に関して国際評価された工業化学品の導入 (Section 38 (法規②))
        • 工業化学品の正式名称(CAS名またはIUPAC名を含む)が導入者に知られている場合:
          i) 工業化学品の正式名称(CAS名またはIUPAC名を含む); and
          ii) 工業化学品が導入者に知られている他の名称; and
          iii) 工業化学品のCAS番号(割り当てられている場合)
        • 工業化学品の正式名称が導入者に知られていない場合:
          i) 工業化学品が導入者に知られている名称; and
          ii) 局長に提供した化学品の所有者名:
           ・工業化学品の正式名称(CAS名またはIUPAC名を含む); and
           ・工業化学品のCAS番号(割り当てられている場合)
        • 工業化学品が以下であるかどうか:
          i) 輸入; or
          ii) オーストラリアで製造
        • 登録年度に導入を予定している工業化学品の最大総量
        • 工業化学品の最終用途
        • 最終使用時の工業化学品の最大濃度
        • 工業化学品の既知の危険分類
        • 以下について工業化学品を評価または査定した国際評価機関の名前:
          i) 人健康; and
          ii) 環境
        • 以下どちらも対象:
          i) 国際的な評価または査定の参照番号(記載されている場合)
          ii) 国際的な評価または査定で特定される工業化学品の名称
        • 国際的な評価または評価が完了した年
        • 国際的な評価または評価に,最終用途,導入量,または最終用途での工業化学品の最大濃度に関するパラメーターが含まれていた場合,これらのパラメーター
        • 以下の場合,それら制限とは何か,そしてオーストラリア人がそれらの制限をどのように遵守するか:
          i) 国際的な評価または査定は、法規②のSection 6(3)の表のitem 6に記載されている種類のものである; and
          ii) 工業化学品に関連するREACH規則のAnnex XVIIに定められた制限がある
        • 以下の場合,それら条件は何か,そしてオーストラリア人がそれらの条件をどのように遵守するか
          i) 国際的な評価または査定が法規②のSection 6(3)の表のitem 6に記載されている種類のものではない; and
          ii) 国際的な評価機関が、海外の管轄区域で工業化学品による人健康または環境へのリスクを管理するために遵守しなければならない条件を決定した
        • 以下の宣言:
          i) 工業化学品向けの完全な国際的な評価レポートが利用可能である; and
          ii) 要請があれば,局長に提供される
        • 海外の管轄区域での工業化学品の導入は禁止されていないという宣言 (記載されている場合)
        • ガイドラインに従って決定されるように、オーストラリアでの工業化学品の導入と使用による人健康と環境へのリスクは海外の管轄区域よりも高くないという宣言
        • 国際的な評価または査定が完了した後、導入者は以下情報は得られなかったという宣言:
          i) 国際的な評価または査定で特定されていない工業化学品による人健康または環境への危険; or
          ii) 国際的な評価または査定で特定された工業化学品による人健康または環境への危険の深刻度の増加

      • 人健康に関して国際評価されているが,環境に関して国際評価されていない工業化学品の導入 (Section 39 (法規②))
        • 工業化学品の正式名称(CAS名またはIUPAC名を含む)が導入者に知られている場合:
          i) 工業化学品の正式名称(CAS名またはIUPAC名を含む); and
          ii) 工業化学品が導入者に知られている他の名称; and
          iii) 工業化学品のCAS番号(割り当てられている場合)
        • 工業化学品の正式名称が導入者に知られていない場合:
          i) 工業化学品が導入者に知られている名称; and
          ii) 局長に提供した化学品の所有者名:
           ・工業化学品の正式名称(CAS名またはIUPAC名を含む); and
           ・工業化学品のCAS番号(割り当てられている場合)
        • 工業化学品が以下であるかどうか:
          i) 輸入; or
          ii) オーストラリアで製造
        • 登録年度に導入を予定している工業化学品の最大総量
        • 工業化学品の最終用途
        • 最終使用時の工業化学品の最大濃度
        • 工業化学品の導入が指定された種類の環境への放出を引き起こすかどうか,もしそうであれば,どの種類か
        • 導入の環境暴露帯,および暴露帯の元になる暴露帯の基準
        • 工業化学品の既知の危険分類
        • 導入者に知られている工業化学品の環境危険特性
        • 導入者が法規②のSection 30 (2)(c)(iii)および(iv)に記載されている情報を考慮したことの宣言
        • 工業化学品が化粧品を最終用途として導入される場合,Subsection (3)で指定されたどの条件が導入に適用されるかに関するステートメント
        • 導入が,Section 7(2)または(3)が適用される特定の導入クラスであるかどうか,そうであれば,どのクラスか
        • 人健康に対する工業化学品を評価もしくは査定した国際的な評価機関の名前
        • 以下どちらも対象:
          i) 国際的な評価または査定の参照番号(記載されている場合)
          ii) 国際的な評価または査定で特定される工業化学品の名称
        • 国際的な評価または査定が完了した年
        • 国際的な評価または査定に,最終用途,導入量,または最終用途での工業化学品の最大濃度に関するパラメーターが含まれていた場合,これらのパラメーター
        • 以下の場合,それら制限とは何か,そしてオーストラリア人がそれらの制限をどのように遵守するか:
          i) 国際的な評価または査定は、法規②のSection 6(3)の表のitem 6に記載されている種類のものである; and
          ii) 工業化学品に関連するREACH規則のAnnex XVIIに定められた制限がある
        • 以下の場合,それら条件は何か,そしてオーストラリア人がそれらの条件をどのように遵守するか
          i) 国際的な評価または査定が法規②のSection 6(3)の表のitem 6に記載されている種類のものではない; and
          ii) 国際的な評価機関が、海外の管轄区域で工業化学品による人健康または環境へのリスクを管理するために遵守しなければならない条件を決定した
        • 以下の宣言:
          i) 工業化学品向けの完全な国際的な評価レポートが利用可能である; and
          ii) 要請があれば,局長に提供される
        • 海外の管轄区域での工業化学品の導入は禁止されていないという宣言 (記載されている場合)
        • ガイドラインに従って決定されるように、オーストラリアでの工業化学品の導入と使用による人健康と環境へのリスクは海外の管轄区域よりも高くないという宣言
        • 国際的な評価または査定が完了した後、導入者は以下情報は得られなかったという宣言:
          i) 国際的な評価または査定で特定されていない工業化学品による人健康または環境への危険; or
          ii) 国際的な評価または査定で特定された工業化学品による人健康または環境への危険の深刻度の増加

      • 環境に関して国際評価されているが,人健康に関して国際評価されていない工業化学品の導入 (Section 40 (法規②))
        • 工業化学品の正式名称(CAS名またはIUPAC名を含む)が導入者に知られている場合:
          i) 工業化学品の正式名称(CAS名またはIUPAC名を含む); and
          ii) 工業化学品が導入者に知られている他の名称; and
          iii) 工業化学品のCAS番号(割り当てられている場合)
        • 工業化学品の正式名称が導入者に知られていない場合:
          i) 工業化学品が導入者に知られている名称; and
          ii) 局長に提供した化学品の所有者名:
           ・工業化学品の正式名称(CAS名またはIUPAC名を含む); and
           ・工業化学品のCAS番号(割り当てられている場合)
        • 以下の場合,工業化学品のポリマー分子量の詳細
          i) 工業化学品は高分子量ポリマーである; and
          ii) 導入のための人健康の暴露帯は4である
        • 工業化学品が以下であるかどうか:
          i) 輸入; or
          ii) オーストラリアで製造
        • 登録年度に導入を予定している工業化学品の最大総量
        • 工業化学品の最終用途
        • 導入の人健康暴露帯,および暴露帯の元になる暴露帯の基準
        • 工業化学品の既知の危険分類
        • 導入者に知られている工業化学品の人健康危険特性
        • 導入者が法規②のSection 30 (2)(c)(iii)および(iv)に記載されている情報を考慮したことの宣言
        • 工業化学品が化粧品を最終用途として導入される場合,Subsection (3)で指定されたどの条件が導入に適用されるかに関するステートメント
        • 導入が,Section 7(2)または(3)が適用される特定の導入クラスであるかどうか,そうであれば,どのクラスか
        • 環境に対する工業化学品を評価もしくは査定した国際的な評価機関の名前
        • 以下どちらも対象:
          i) 国際的な評価または査定の参照番号(記載されている場合)
          ii) 国際的な評価または査定で特定される工業化学品の名称
        • 国際的な評価または査定が完了した年
        • 国際的な評価または評価に,最終用途または導入量に関するパラメーターが含まれていた場合,これらのパラメーター
        • 以下の場合,それら制限とは何か,そしてオーストラリア人がそれらの制限をどのように遵守するか:
          i) 国際的な評価または査定は、法規②のSection 6(3)の表のitem 6に記載されている種類のものである; and
          ii) 工業化学品に関連するREACH規則のAnnex XVIIに定められた制限がある
        • 以下の場合,それら条件は何か,そしてオーストラリア人がそれらの条件をどのように遵守するか
          i) 国際的な評価または査定が法規②のSection 6(3)の表のitem 6に記載されている種類のものではない; and
          ii) 国際的な評価機関が、海外の管轄区域で工業化学品による人健康または環境へのリスクを管理するために遵守しなければならない条件を決定した
        • 以下の宣言:
          i) 工業化学品向けの完全な国際的な評価レポートが利用可能である; and
          ii) 要請があれば,局長に提供される
        • 海外の管轄区域での工業化学品の導入は禁止されていないという宣言 (記載されている場合)
        • ガイドラインに従って決定されるように、オーストラリアでの工業化学品の導入と使用による人健康と環境へのリスクは海外の管轄区域よりも高くないという宣言
        • 国際的な評価または査定が完了した後、導入者は以下情報は得られなかったという宣言:
          i) 国際的な評価または査定で特定されていない工業化学品による環境への危険; or
          ii) 国際的な評価または査定で特定された工業化学品による環境への危険の深刻度の増加

      • R&D用途の工業化学品の導入 (Section 41 (法規②))
        • 工業化学品の正式名称(CAS名またはIUPAC名を含む)が導入者に知られている場合:
          i) 工業化学品の正式名称(CAS名またはIUPAC名を含む); and
          ii) 工業化学品が導入者に知られている他の名称; and
          iii) 工業化学品のCAS番号(割り当てられている場合)
        • 工業化学品の正式名称が導入者に知られていない場合:
          i) 工業化学品が導入者に知られている名称; and
          ii) 局長に提供した化学品の所有者名:
           ・工業化学品の正式名称(CAS名またはIUPAC名を含む); and
           ・工業化学品のCAS番号(割り当てられている場合)
        • 工業化学品が以下であるかどうか:
          i) 輸入; or
          ii) オーストラリアで製造
        • 登録年度に導入を予定している工業化学品の最大総量
        • 工業化学品が固体として導入されるか,分散としてか,それともどれでもないか
        • 法規②のSection 27(2)または(3)の要件(要件がある場合)が導入に合致していることの宣言

      • 低リスクフレーバーブレンド(風味)もしくはフレグランスブレンド(香料)の導入 (Section 42 (法規②))
        • 工業化学品の一部として導入されるフレーバーブレンドまたはフレグランスブレンドの名前
        • 工業化学品の正式名称(CAS名またはIUPAC名を含む)が導入者に知られている場合:
          i) 工業化学品の正式名称(CAS名またはIUPAC名を含む); and
          ii) 工業化学品が導入者に知られている他の名称; and
          iii) 工業化学品のCAS番号(割り当てられている場合)
        • 工業化学品の正式名称が導入者に知られていない場合,工業化学品の一部として導入されるフレーバーブレンドまたはフレグランスブレンドの化学品の所有者名
        • 法規②のSection 27(4)に従って,導入者が導入するフレーバーブレンドまたはフレグランスブレンドの工業化学品の数
        • 工業化学品が化粧品を最終用途として導入される場合,Subsection (3)で指定されたどの条件が導入に適用されるかに関するステートメント

      • 一番高いリスクが低いリスクであるその他導入 (Section 43 (法規②))
        • 工業化学品の正式名称(CAS名またはIUPAC名を含む)が導入者に知られている場合:
          i) 工業化学品の正式名称(CAS名またはIUPAC名を含む); and
          ii) 工業化学品が導入者に知られている他の名称; and
          iii) 工業化学品のCAS番号(割り当てられている場合)
        • 工業化学品の正式名称が導入者に知られていない場合:
          i) 工業化学品が導入者に知られている名称; and
          ii) 局長に提供した化学品の所有者名:
           ・工業化学品の正式名称(CAS名またはIUPAC名を含む); and
           ・工業化学品のCAS番号(割り当てられている場合)
        • 以下の場合,工業化学品のUVCB物質の説明
          i) 工業化学品の正式名称(CAS名またはIUPAC名を含む)が導入者に知られている; and
          ii) 工業化学品がUVCB物質である; and
          iii) 以下のいずれか:
           ・導入の人健康の暴露帯は4である; or
           ・導入の環境暴露帯は3または4である
        • 以下の場合,工業化学品のUVCB物質の説明を局長に提供した化学品の所有者の名前:
          i) 工業化学品の正式名称が導入者に知られていない; and
          ii) 工業化学品がUVCB物質である; and
          iii) 以下のいずれか:
           ・導入の人健康の暴露帯は4である; or
           ・導入の環境暴露帯は3または4である
        • 以下の場合,工業化学品のポリマー分子量の詳細
          i) 工業化学品は高分子量ポリマーである; and
          ii) 導入のための人健康の暴露帯は4である
        • 工業化学品が以下であるかどうか:
          i) 輸入; or
          ii) オーストラリアで製造
        • 登録年度に導入を予定している工業化学品の最大総量
        • 工業化学品の最終用途
        • 以下両方:
          i) 導入の人健康暴露帯
          ii) 暴露帯の元になる暴露帯の基準
        • 工業化学品の導入が指定された種類の環境への放出を引き起こすかどうか,もしそうであれば,どの種類か
        • 以下両方:
          i) 導入の環境暴露帯
          ii) 暴露帯の元になる暴露帯の基準
        • 導入者に知られている工業化学品の人健康危険特性
        • 導入者に知られている工業化学品の環境危険特性
        • 導入者が法規②のSection 30 (2)(c)(iii)および(iv)に記載されている情報を考慮したことの宣言
        • 工業化学品が化粧品を最終用途として導入される場合,Subsection (3)で指定されたどの条件が導入に適用されるかに関するステートメント
        • 導入が,Section 7(2),(3)または(4)が適用される特定の導入クラスであるかどうか,そうであれば,どのクラスか

    • 評価導入(assessed introductions) (Section 38 (法規①))
      以下を含む必要がある.
      • 工業化学品の正式名称
      • 評価範囲
      • 工業化学品の導入または使用に関する条件
        • 導入が許可されている工業化学品の数量条件
        • 導入または使用が許可される工業化学品の場所条件
        • 導入が許可される工業化学品の期間条件
      • 導入に関連して局長に情報を提供するための特定要件
      • この項の目的のために規則によって規定されたその他情報

    • 商業査定導入(commercial evaluation introductions) (Section 59 (法規①))
      以下を含む必要がある.
      • 工業化学品の正式名称
      • 承認が有効な期間(4年は越えてはならない)
      • 工業化学品の最終用途
      • 承認を受けた工業化学品の導入は,商業査定を目的とするものでなければならない
      • 工業化学品の導入または使用による人健康または環境へのリスクを管理するために必要な、工業化学品の導入または使用に関する条件
      • 導入に関連して局長に情報を提供するための特定要件
      • この項の目的のために規則によって規定されたその他情報

    • 例外状況導入(exceptional circumstances introductions) (Section 67 (法規①))
      以下を含む必要がある.
      • 工業化学品の正式名称
      • 承認が有効な期間
      • 承認の範囲
      • 工業化学品の導入または使用による人健康または環境へのリスクを管理するために必要な,大臣が納得する工業化学品の導入または使用に関する条件
      • 承認に関連して局長に情報を提供するための特定要件
      • この項の目的のために規則によって規定されたその他情報
  • 審査後の対応・管理 (輸入後の対応・管理)
    届出種類ごとに対応すべきことを以下に記す.
    • 対象物質収載導入(listed introductions)
      • すべてのカテゴリーの記録保持 (Section 104 (法規①))
        工業化学品の導入に関する記録を5年間保持しなければならない.
      • すべてのカテゴリーでの導入宣言(Section 99 (法規①), Section 44 (法規②))
        法規①のSection 99 (2)の目的のため,登録年度向けに宣言向けの情報が規定されている.

    • 免除導入(exempted introductions)
      • すべてのカテゴリーの記録保持 (Section 104 (法規①))
        工業化学品の導入に関する記録を5年間保持しなければならない.
      • 免除導入の記録保持 (Section 47~51 (法規②))
      • 免除導入の導入後の宣言 (Section 96A (法規①), Section 36 (法規②))
        以下に該当する場合,宣言が必要である
        • 一番高いリスクが非常に低いリスクである導入 (Section 36(2) (法規②))
        • 低懸念ポリマーの導入 (Section 36(4) (法規②))
        • 低懸念生体ポリマーの導入 (Section 36(4) (法規②))
      • すべてのカテゴリーでの導入宣言(Section 99 (法規①), Section 44 (法規②))
        法規①のSection 99 (2)の目的のため,登録年度向けに宣言向けの情報が規定されている.

    • 報告導入(reported introductions)
      • すべてのカテゴリーの記録保持 (Section 104 (法規①))
        工業化学品の導入に関する記録を5年間保持しなければならない.
      • すべてのカテゴリーでの導入宣言(Section 99 (法規①), Section 44 (法規②))
        法規①のSection 99 (2)の目的のため,登録年度向けに宣言向けの情報が規定されている.

    • 評価導入(assessed introductions)
      • 評価ステートメント(Section 36 (法規①))
        申請者は評価ステートメントのドラフトを受領する.問題なければ,局長は申請者に評価ステートメントを発行し,評価ステートメントはAICISのウェブサイトに公開される.
      • すべてのカテゴリーの記録保持 (Section 104 (法規①))
        工業化学品の導入に関する記録を5年間保持しなければならない.
      • すべてのカテゴリーでの導入宣言(Section 99 (法規①), Section 44 (法規②))
        法規①のSection 99 (2)の目的のため,登録年度向けに宣言向けの情報が規定されている.

    • 商業査定導入(commercial evaluation introductions)
      • すべてのカテゴリーの記録保持 (Section 104 (法規①))
        工業化学品の導入に関する記録を5年間保持しなければならない.
      • すべてのカテゴリーでの導入宣言(Section 99 (法規①), Section 44 (法規②))
        法規①のSection 99 (2)の目的のため,登録年度向けに宣言向けの情報が規定されている.

    • 例外状況導入(exceptional circumstances introductions)
      • すべてのカテゴリーの記録保持 (Section 104 (法規①))
        工業化学品の導入に関する記録を5年間保持しなければならない
      • すべてのカテゴリーでの導入宣言(Section 99 (法規①), Section 44 (法規②))
        法規①のSection 99 (2)の目的のため,登録年度向けに宣言向けの情報が規定されている.
  • その他
    以下にインベントリー,秘密保持対応,善意の導入者への開示について記す.
    • インベントリー (Section 81, 82, 83 (法規①))
      評価証明書の効力を5年間持つ工業化学品は,一般的にインベントリーに収載される.評価証明書の保有者は早期収載(early listing)の届出をすることができる.工業化学品は5年経過前にインベントリーに収載される.

      • インベントリーの内容 (Section 81 (法規①))
        インベントリーには,工業化学品ごとに以下(インベントリー収載条件)を含めなければならない.
        • 工業化学品のCAS名称およびCAS番号
        • 工業化学品の分子式
        • 工業化学品の評価範囲
        • 工業化学品の導入または使用条件
          i) 導入許可される工業化学品の量
          ii) 工業化学品の導入または使用許可条件
          iii) この項の目的のために規則によって規定された種類の条件
        • 工業化学品の導入に関連して局長に情報を提供するための特定要件
        • この項の目的のために規則によって規定されたその他情報
          ※CBI(機密企業情報:Confidential Business Information)が承認されると,CAS名称やCAS番号,分子式の代わりにAACN(AICIS承認化学物質名の略: short for AICIS approved chemical name)が公開される.

      • 5年後のインベントリー収載 (Section 82 (法規①))
        以下の場合,局長は工業化学品をインベントリーに記載しなければならない.
        • 工業化学品がインベントリーに収載されていない; and
        • 工業化学品の評価証明書が発行されている; and
        • 評価証明書が有効; and
        • 評価証明書が発行されてから5年が経過

      • 5年前(5年経過前)のインベントリー収載 (Section 83 (法規①))
        工業化学品の評価証明書の所有者は,以下の場合,インベントリーに収載するよう当該化学品を局長に届出することができる.
        • 工業化学品がインベントリーに収載されていない; and
        • 評価証明書が有効; and
        • 評価証明書には,Section 38(2)(c)に記載されている種類の条件(工業化学品の導入が許可されている条件)が含まれていない; and
        • 評価証明書が発行されてから5年経過していない

    • 秘密保持対応 (Section 105, 108, 110, 111 (法規①))
      届出の際,企業秘密に関係する以下情報は秘密保持することができる.

      • 工業化学品の正式名称が対象 (Section 105(1), Section 108(3), Section 110 (法規①))
        以下の場合,工業化学品の正式名称をCBIとして申請可能である.正式名称の代わりにAACNが公開される.局長が承認すると5年間保護される(Section 110).承認から5年後,承認継続のための申請が可能である(Section 111).
        • Section 31に基づく工業化学品の評価証明書申請
        • Section 53に基づく工業化学品の商業的評価認可申請
        • Section 97に基づく導入前レポート
        • この項の目的のために規則によって規定されたその他情報

      • 工業化学品の最終用途が対象 (Section 105(2), Section 108(4), Section 110 (法規①))
        以下の場合,工業化学品の最終用途をCBIとして申請可能である.最終用途の代わりに一般用途が公開される.局長が承認すると5年間保護される(Section 110).承認から5年後,承認継続のための申請が可能である(Section 111).
        • Section 31に基づく工業化学品の評価証明書申請
        • Section 43に基づく工業化学品の評価証明申請の最終用途変更申請
        • Section 53に基づく工業化学品の商業的評価認可申請
        • Section 88に基づく工業化学品のインベントリーに収載されている最終用途変更申請
        • Section 97に基づく導入前レポート
        • この項の目的のために規則によって規定されたその他情報

      • その他情報が対象 (Section 113 (法規①))
        申請者はCBIとして扱われる情報について局長に申請をすることができる.ただし,以下項目の申請は不可(Section 114).
        • Section 105に基づく保護申請情報
        • 工業化学品の組成が明らかではない化学品の物理的・化学的データ
        • 工業化学品の導入もしくは使用による人健康または環境リスクに関するデータ概要

    • 善意の導入者(Bona fide Introducer)への開示 (Section 120 (法規①))
      以下に該当する申請者へ,工業化学品に関する保護情報が開示される.
      1. 工業化学品がインベントリーに収載されている; and
      2. 以下を満足している
        ・申請者が工業化学品の導入を意図している; and
        ・開示は,工業化学品の安全な導入と使用に必要
  • 参考
    AICIS (HP)

以上

中国 12号令 | 新化学物質環境管理登記指南 意見募集

2020年8月17日に中国生態環境部は以下を発表した.

7号令(新化学物質環境管理弁法)に代わり,12号令(新化学物質環境管理登記弁法)が2021年1月1日に施行される.12号令に従い,「新化学物質環境管理登記指南(ドラフト版)」(添付1)および関連フォームとフォーム作成手順(添付2)が作成された.現在内容に関するコメントを受け付けている.

すべての機関,組織,企業,および個人はフィードバックの形式に従い,書面による意見や提案を提出できる (添付3を参照).意見募集の締め切りは2020年9月6日である.

添付1:新化学物質環境管理登記指南および修正説明 (PDF)
添付2:登記指南関連フォームとフォーム作成手順 (PDF)
添付3:意見フォーム (Word)

参照:生態環境部 (HP)

以上

中国 12号令(新化学物質環境管理登記弁法) | 新法の公布

2020年4月29日に中国生態環境部は以下を発表した.

「新化学物質環境管理登記弁法」(12号令:部令第12号)は、2020年2月17日に生態環境省の大臣によって見直され承認された.同法は公布され,2021年1月1日に施行される.旧環境保護省が2010年1月19日に発行した「新化学物質環境管理弁法」(7号令:環境保護省令第7号)を廃止する.

新化学物質環境管理登記弁法 (12号令): HP

以上

フィリピン RA 6969 | 新規化学物質届出制度

フィリピン共和国(以下フィリピン)で新規化学物質を製造もしくは輸入をする際には,RA 6969 (共和国法第6969: Republic Act No. 6969, 別名 1990年の有害物・危険物・核廃棄物管理法: Toxic Substances and Hazardous and Nuclear Wastes Control Act of 1990)に基づき,新規化学物質届出をしなければならない.届出制度の概要を以下に説明する.

  • 所管当局・届出先
    • DENR (環境天然資源庁: Department of Environment and Natural Resources, Section 6 (法規①))
    • EMB (環境管理局: Environmental Management Bureau)
    • EMB regional office (環境管理局地方オフィス)
  • 届出者 (Section 8 (法規①))
    • フィリピンの製造者,加工者,または輸入者
  • 届出物質
    • 対象物質 (Section 8 (法規①), Section 6 10 (法規②))
      新規化学物質または混合物  (PICCS (フィリピン化学物質インベントリー: Philippine Inventory of Chemicals and Chemical Substances) に収載されていない物質)

    • 対象外物質 (Section 11 (法規①))
      以下化学物質または混合物の製造は,PMPIN(製造・輸入前届出: Pre-Manufacturing and Pre-Importation Notification)の対象外である.

      • 既存化学物質のインベントリーに収載済み化学物質および混合物
      • 実験または研究開発目的で生産される物質
      • 健康や環境にリスクを与えない化学物質および混合物
      • 製造もしくは加工における化学反応で生じるような,一時的に存在し,かつ人健康や環境暴露をしない化学物質および混合物
  • 届出種類
    • 通常届出 (P26 (法規⑧), Section 2 (法規⑦))
      • PMPIN詳細 (製造前・輸入前詳細届出: Pre-Manufacturing and Pre-Importation Notification detailed)

      • PMPIN簡易 (製造前・輸入前簡易届出: Pre-Manufacturing and Pre-Importation Notification abbreviated)
        他国(米国,カナダ,日本,オーストラリア,欧州,韓国のいずれか)の既存化学物質に該当する場合,届出可能.

    • 免除届出
      以下は,PMPIN届出は不要だが,免除届出が必要となる.
      • SQI (少量輸入: Small Quantity Importation) (P32 (法規⑧))
        EMB regional officeに届出をする.新規化学物質1000kg/年まで輸入可能となる.輸入される製品ごとの届出となる.

      • ポリマー免除 (法規⑥)
        届出物質がポリマー免除に該当する場合,ポリマー免除届出が可能となる.

    • 届出除外(Section 10 (法規⑦)
      以下に該当する新規化学物質は届出除外となる.
      • アーティクル
      • 天然物質
      • 放射性物質や最終製品 (フィリピンの他方で規制されている殺生物,薬品,食品添加,化粧品)
  • 届出期間 (Section 8 (法規⑦), Section 5 (法規⑥))
    • PMPIN詳細
      EMBは審査に120営業日かかり,PMPIN Compliance Certificateが発行される.
    • PMPIN簡易
      EMBは審査に90営業日かかり,PMPIN Compliance Certificateが発行される.
    • SQI
      EMB regional officeが届出を受領してから20営業日以内にSQI Clearance(SQI認可)が発行される.SQI Clearanceは発行日から12ヵ月有効である.更新は可能だが,回数に制限がある.回数はSQI Clearanceに記載される.
    • ポリマー免除
      EMBが届出を受領してから20営業日にExemption certificateが発行される.
  • 必要情報 (Section 3, 4 (法規⑦))
    • PMPIN詳細・PMPIN簡易
      以下情報が必要となる.PMPIN詳細については,3~4は試験結果が必要となる.PMPIN簡易については,3~4は化学文献や報告書,試験結果が必要となる.

      • 申請情報
        • 申請者名と住所
        • 化学物質名
        • CAS番号
        • 分子式
        • 商品名
        • 輸入・製造される化学物質の推定年間数量
        • 製品の100%成分
        • 化学物質の意図する用途
      • 新規化学物質のSDS (安全データシート: Safety Data Sheet)
      • 物化性状情報
        • 性状,色
        • におい
        • 沸点
        • 融点
        • 密度
        • 蒸気圧
        • 分配係数
        • 可燃性
        • 水溶解性
        • 安定性
      • 人健康情報・環境情報
        • 急性経口毒性
        • 急性吸入毒性
        • 慢性毒性
        • 皮膚・眼刺激性
        • 皮膚感作性
        • 発がん性,催奇形性,および変異原性
        • 急性魚毒性,ミジンコ遊泳阻害毒性,または藻類成長阻害毒性
        • 分解性
        • 生物蓄積性

    • SQI
      以下情報が必要となる.届出をするregionごとに申請書類が異なる.
      • 新規化学物質名称
      • CAS番号
      • 化学構造式
      • 製品や混合物に含まれる新規化学物質の割合
      • 供給される製品や混合物の重量
      • 新規化学物質を含み,年間に輸入・製造する製品や混合物の数量

    • ポリマー免除 (Section 5 (法規⑥))
      • 新規化学物質名称
      • CAS番号
      • 化学構造式
      • 申請ポリマーの用途
      • 申請ポリマーもしくは当該ポリマーを含む製品・混合物のSDS
      • モノマーや反応物情報を含むポリマーの100%成分
      • ポリマーがポリマー免除に該当することを示すデータ (GPCデータ,IRなど)
  • 審査後の対応・管理 (Section 8 (法規⑦))
    • PMPIN詳細・PMPIN簡易
      NOC (初回輸入届出: Notice of Commencement)
      最初の製造・輸入後,製造者もしくは輸入者は3週間以内にNOCを提出しなければならない.
    • SQI (法規⑨)
      年次レポートをEMB regional officeに提出しなければならない.
    • ポリマー免除
      法的には明記なし.ただし,Exemption certificateを参照すること.

以上

米国 TSCA | 新規化学物質届出制度

米国で新規化学物質を製造もしくは輸入をする際には,TSCA (有害物質規制法: Toxic Substances Control Act)に基づき,新規化学物質届出をしなければならない.届出制度の概要を以下に説明する.

* TSCAにおいて,製造は輸入も意味する.

  • 所管当局
    • EPA (米国環境保護庁: Environmental Protection Agency)
  • 届出者 (§720.22 (法規②))
    • 米国で商業目的で新規化学物質を製造(輸入)しようとする者
  • 届出物質
    • 対象物質 (§720.22 (法規②))
      • 新規化学物質 (TSCAインベントリーに収載されていない物質)
        新規化学物質は届出の対象物質であるので,次項の届出種類に基づき対応しなければならない.

    • 対象外物質(§720.30 (法規②))
      新規化学物質だとしても,以下項目は届出の対象外となる.

      • 化学物質ではない物質
      • 混合物(混合物自体は届出の対象外だが,混合物に含まれる個々の物質は届出の対象になりうる)
      • §720.36に基づく営利目的の研究開発(営利R&D)向け新規化学物質
      • §720.38に基づくテストマーケティング向け新規化学物質
      • 輸出専用新規化学物質
      • 燃料物,もしくは廃棄,または成分物質を抽出する副産物
      • 以下化学物質
        • 不純物
        • 商業目的で使用されない副産物
        • 環境要因や暴露に付随した化学反応から生じる化学物質
        • 保管または廃棄に付随した化学反応から生じる化学物質
        • 最終使用時に発生した化学反応から生じる化学物質であり,商業としての流通または中間体としての使用のために製造された化学物質ではない.
        • 使用時に発生する化学反応から生じる化学物質
        • 安定剤や着色剤などが意図した通りに機能,もしくは,特定の生理化学的特性を付与することを意図した化学物質が機能するときに発生する化学反応から生じる化学物質
        • 単離されていない中間体
      • 非営利目的の研究開発(非営利R&D)向け新規化学物質
  • 届出種類 (TSCA section 5 (法規①), §720.40 (法規②))
    新規化学物質は製造前に,以下項目に基づき届出をしなければならない.

    • 通常届出
      PMN (製造前届出: Pre-manufacture notification)
      数量の制限は特にない.届出後,NOC(Notice of Commencement; 初回輸入届出)を提出すると,TSCAインベントリーに収載される.

    • 免除届出 (§723.50, §723.175, §723.250 (法規③))
      PMNは免除されるが,免除届出はしなければならない.

      • TME (テストマーケティング免除: Test Marketing Exemptions, §720.38)
        テストマーケティング用の新規化学物質が免除届出の対象となる.
      • LVE (少量免除: Low Volume Exemption, §723.50)
        年間10,000kg以下まで製造可能となる.製造の30日前には提出しなければならない.
      • LoREX (環境への放出が少なく,人への暴露が少ない化学物質: Low environmental releases and human exposures, §723.50)
        環境への放出が少なく,人への暴露が少ない化学物質が免除届出の対象となる.製造の30日前には提出しなければならない.
      • Film article exemption (インスタント写真および剥離フィルム製品の製造または加工に使用される化学物質: Chemical substances used in or for the manufacture or processing of instant photographic and peel-apart film articles, §723.175)
        インスタント写真および剥離フィルム製品の製造または加工に使用される化学物質が免除届出の対象となる.

    • 届出除外
      PMNは免除され,免除届出も不要.ただし,輸入後の管理などが必要となる.

      • 営利R&D (R&D exemption, §720.36 (法規②))
      • ポリマー (Polymers, §723.250 (法規③))
  • 届出期間
    • 通常届出
      PMN:製造の90日前には提出しなければならない.

    • 免除届出
      • TME:製造の45日前には提出しなければならない.
      • LVE:製造の30日前には提出しなければならない.
      • LoREX:製造の30日前には提出しなければならない.
      • Film article exemption:製造時に提出しなければならない.

    • 届出除外
      ポリマー:製造前に提出は不要.ただし,最初の製造後,翌年1/31までにポリマー免除レポートを提出しなければならない.
  • 必要情報
    • PMN (§720.45, §720.50 (法規②))
      • 化学的同一性情報 (CA名称; Chemical Abstracts Name, CAS RN; CAS Registry Number, 分子式, 化学構造式)
      • ポリマーの場合,以下情報
        • モノマーおよび反応物の化学物質名称 (2wt%以下の場合も同様)
        • モノマーおよび反応物のwt%,およびモノマーの最大残留量
        • ポリマーの数平均分子量および500未満および1000未満の低分子量の測定値
      • 不純物
      • 新規化学物質の商品名
      • 新規化学物質の製造,加工,使用および廃棄に起因する副産物
      • 最初の年の推定製造最大量および最初の3年間の任意の12ヵ月の推定製造最大量
      • 用途カテゴリーの説明,および各用途カテゴリーでの推定生産量,商業的製剤もしくは消費者用途での新規化学物質の%
      • 届出者が管理するサイトでの情報
        • 新規化学物質の製造,加工,または使用サイト
        • 新規化学物質の製造,加工,または使用オペレーションのプロセスの説明,および新規化学物質の排出ポイント
        • 従業員活動や従業員が暴露しうる新規化学物質の性状(液体,気体,粉体など),従業員数,保護具などを含む,従業員暴露情報
        • 排出量や性状,使用されている技術管理を含む新規化学物質の環境排出情報
      • 届出者が所有または管理する新規化学物質に関する試験データ
      • 届出者が既知または合理的に確認できる新規化学物質の人健康および環境影響関連データ

    • LVE, LoREX (§723.50 (e) (2) (法規③))
      • 製造者のアイデンティティ
      • 化学的同一性情報 (CA名称; Chemical Abstracts Name, CAS RN; CAS Registry Number, 分子式,化学構造式)
      • 不純物
      • 新規化学物質の商品名
      • 新規化学物質の製造,加工,使用および廃棄に起因する副産物
      • 最初の年の推定製造最大量および最初の3年間の任意の12ヵ月の推定製造最大量
      • 用途カテゴリーの説明,および各用途カテゴリーでの推定生産量,商業的製剤もしくは消費者用途での新規化学物質の%
      • 届出者が管理するサイトでの情報
        • 新規化学物質の製造,加工,または使用サイト
        • 新規化学物質の製造,加工,または使用オペレーションのプロセスの説明,および新規化学物質の排出ポイント
        • 従業員活動や従業員が暴露しうる新規化学物質の性状(液体,気体,粉体など),従業員数,保護具などを含む,従業員暴露情報
        • 排出量や性状,使用されている技術管理を含む新規化学物質の環境排出情報
      • 届出のタイプ
      • 届出者が所有または管理する新規化学物質に関する試験データ
      • 届出者が既知または合理的に確認できる新規化学物質の人健康および環境影響関連データ
      • 届出を満たす証明
      • サニタイズされた届出(秘密情報を隠した届出)のコピー

    • TME (§720.38 (法規②))
      • 化学物質安全性データ(物理的データ,人健康毒性データ,環境毒性データ),もしくは構造活性相関データおよび化学物質類似物質のデータ
      • 製造の最大量
      • 化学物質を提供する最大人数
      • 化学物質に暴露しうる最大人数
      • テストマーケティング活動の詳細.期間など.
      • 料金支払い番号

    • ポリマー (Polymers, §723.250 (法規③))
      製造前の届出は不要.ただし,最初の製造後,翌年1/31までにポリマー免除レポートを提出しなければならない.その際に必要な情報は以下になる.

      • 製造者名 (製造者の名前,住所,技術担当者の名前,電話番号)
      • 製造されたポリマーの数
  • 審査後の対応・管理 (§720.78, §720.102 (法規②), §723.50 (法規③))
    • PMN
      • NOC (初回輸入届出: Notice of Commencement, §720.102)
        PMNに基づく最初の製造後,30日以内にEPAにNOCを提出しなければならない.その際に以下情報が必要となる.
        • 化学的同一性情報
        • 化学物質総称名 (化学物質情報が非開示の場合)
        • PMN番号
        • 製造開始日
        • 届出者の名前と住所
        • 責任者名
        • テクニカルコンタクトの名前と電話番号 (任命している場合)
        • 製造場所の住所
        • CBI有無

      • 管理 (§720.78 (a))
        以下情報を,製造開始日から5年間当該情報を保管しなければならない
        • 製造の最初の3年間の数量
        • 製造開始日
        • 当該情報の書類

    • 営利R&D (§720.78 (b))
      以下情報は,作成後5年間保持しなければならない.
      • 健康への潜在的なリスクのレビューおよび評価された情報のコピーまたは引用
      • 通知の種類と方法を文書化
      • 実験室の手順の文書化
      • 製造者以外の化学物質の行き先 (社名,住所,物質の名前,数量)
      • 化学物質の数量,廃棄情報 (年間100kgを超える場合)

    • TME (§720.78 (c))
      以下情報は,最後の製造後,5年間保持しなければならない.
      • 申請書類
      • EPAによって示された制限情報

    • LVE, LoREX (§723.50 (n))
      新規化学物質の製造者は,製造場所(または輸入サイト)で以下記録を製造後5年間保管する必要がある.
      • 年間の製造量
      • 要件や制限を遵守した記録

    • Film article exemption (§723.175 (j))
      新規化学物質の製造者は,最後の製造から30年間以下記録を保管する必要がある.
      • 年間の製造量.開始日も含めること.
      • 暴露モニタリング情報.最低でも以下情報を含める.
        • 新規化学物質情報
        • モニタリングの日付
        • モニタリング場所のデータ
        • 収集や分析技術の詳細
      • 訓練および暴露記録.従業員に対する訓練の参加記録
      • 排水の処理記録

    • ポリマー (Polymers, §723.250)
      ポリマーの製造者(輸入者含む)は,製造から5年間以下情報を保管しなければならない.
      • 合理的に確認できる範囲で,化学的アイデンティティ情報の確認
        • 化学物質名およびCAS番号
        • 代表的な構造図
      • ポリマーが免除を遵守していることを示す情報
      • 最初の3年間の製造量の記録と製造開始日
      • ポリマー免除のどの基準を満たすかを示す情報
      • 数平均分子量がポリマー免除基準を満たすことを示すデータ (GPC dataなど)
      • 低分子の基準がポリマー免除基準を満たすことを示すデータ (GPC dataなど)
      • 可能であれば,化学的アイデンティティを示す分析データもしくは理論的計算
      • ステートメント(ポリマー免除遵守を示す)の作成

以上